Q.私の自宅は、建物は私名義なのですが、土地は数年前に亡くなった父親名義のままです。この度、住宅ローンを完済し、銀行から抵当権抹消のための書類を預かりました。抵当権は土地と建物についているため、抹消しようとしたところ、土地の名義が父親のままなので土地の抵当権抹消は相続登記が終わるまでできないと言われました。相続については誰がどれだけ相続するかまだ話し合いが終わっていません。どうすればいいのでしょうか。
A.結論から言うと相続発生後に弁済により抵当権が消滅したならば、相続登記を先にしなければ抵当権抹消登記をすることはできません。
遺産分割がまだであるにもかかわらず抵当権抹消登記をするには、法定相続分による相続登記をして(これは保存行為として相続人一人からでも可能です。)その後、抵当権抹消登記を行う(これも相続人一人からすることができます。)という方法があります。ただ、これをすると、遺産分割後、再度遺産分割による所有権移転登記をしなければならず、登録免許税が余計にかかってしまいます。
また、抵当権者が銀行であれば大丈夫ですが、もし、銀行以外の抵当権者であれば、抵当権が消滅しているにも関わらず、抵当権を譲り受けたといって抵当権移転登記をされる危険があります。
いずれにせよ、遺産分割を早急にまとめることが最善となります。
先例(昭和32年12月27日民甲第2440号回答)
相続又は合併による移転登記未了の抵当権の登記を抹消しようとする場合には、その前提として当該抵当権移転の登記をなすべきである。...